Designing the Nexus of Human and Technological Capabilities

ビジョン

大阪公立大学大学院 情報学研究科 融能計算研究グループ (Nexable Computing Lab, NCL) は、Nexus (結びつき) とAbility (能力) の造語であるNexability (融能) という概念を提唱して、人や道具が持つ能力の相互作用をコンピュータ制御することで社会全体のできることを増やす「融能計算」の研究を行っています。2024年10月に開設された新しい研究室です。

研究のキーワードは、認知心理学、技能伝承、学習支援、医療情報、行動認識、視線計測、脳機能計測、AR/VRです。

Nexable Interface

人間と技術の相互作用を最適化する研究分野です。身の回りのものを"ネクサブル"にするユーザーインターフェースを開発します。視線計測や脳機能計測を通じて人の状態や行動意図を理解して状況に応じた情報提示を行うシステムなどがその例です。

Nexused Intelligence

人間とAIの協調を促進する研究分野です。技能伝承や学習支援に焦点を当て、AI技術を用いて人間の知性を拡張する技術を開発します。例えば、行動認識技術によって熟練者のスキルを効果的にモデル化し、それを学習者に伝達する手法を研究しています。

Nexus Informatics

人間についての理解を深める研究分野です。脳を情報処理装置に見立て、人やコンピュータの情報処理プロセスを神経科学と計算機科学の両面から解明します。また、人と技術の融合が心にもたらす影響を調査し、人間と機械のよりよい共進化をデザインします。

プロジェクト

これまでの研究プロジェクトから融能計算に関連するものを紹介します。(すべての論文のリストはこちら)

CoALA: Confidence-Aware Learning Assistant

確信度は知識の質を向上させる上で重要な役割を果たします。確信のある不正解や確信のない正解などの望ましくない状況は、学習者がその状況を認識しにくいため、知識の見直しを妨げてしまいます。そこで我々は、センサを用いて確信度を自動的に推定し、重点的に復習すべき問題をフィードバックするシステムを開発しています。

HyperMind: The Intelligent Digital Textbook

センサを使って学習者の心的状態 (興味・認知負荷・理解に対する確信度) を推定し学習者に合わせた情報を提示する電子教科書「HyperMind」を開発しています。最適化されたインタラクションを通じて、学習者はより没頭して、興味深く教科書を読み進めることができます。

万語計: 読書量の計測と可視化

読字中の眼球運動から読んだ単語の数を推定するシステム「万語計」を開発しています。万語計をJINS MEME (眼電位を計測できる眼鏡) 上に実装することで、一日の読書量を計測することを可能にしました。万歩計を身につけて生活すると歩く習慣がつくのと同じ効果で読書習慣を向上させることはできないか研究しています。

心温計: 心の状態を可視化するシステム

体温計のように心の状態を手軽に可視化して心の不調を防ぐ手助けをするシステム「心温計」を開発しています。心温計はウェアラブルセンサを使って日々の身体行動量・認知行動量・社会行動量・睡眠量を算出し、各行動量の変化率から機械学習で心の状態を推定します。

メンバー

石丸 翔也

石丸 翔也 (特任教授)

2016年に大阪府立大学にて修士 (工学) を取得し、渡欧。カイザースラウテルン工科大学にて博士 (工学) を取得。同大学Junior Professor (PI)、ドイツ人工知能研究センター (DFKI) Senior Researcher、Alphaben CROなどを務め、2023年より帰国して現職。AI技術によって人の知性を拡張する研究に取り組んでいる。「心温計:心の状態を可視化するシステムの開発」でIPA未踏スーパークリエータに認定された。

進学希望の方へ

現在、研究室1期生にあたるメンバー (大学生・大学院生) を募集しています!

大学生 (3年生後期)

大阪公立大学の配属希望調査で「融能計算研究グループ (NC)」を選択してください。学科のルールで割り振りが行われます。2024年度秋配属生の研究テーマ案は下記の通りですが、これらに制限せず相談で決めたいと思います。

  • 手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」の操作技能評価システムの研究
  • 健康習慣を向上させる対話型AIアシスタントの研究
  • 読書行動解析と生成AIを活用したデジタル教科書の研究
  • 深層学習による頭部CT画像解析の研究

説明会 (Zoom)

2024年は下記の日時で実施します。参加希望の方はGoogle Formsでお申し込みください。どの回も内容は同じで、当日までに希望者が0人の日は開催しません。

  • 日付:8/8 (木)、8/9 (金)、9/2 (月)、9/4 (水)
  • 時間:すべて15:00-16:00

個別面談

説明会にでられない方や個別にお話ししたい方向けに面談を行います。以下の情報をメールでご連絡ください。

  • 希望日時 (8/5〜9/9で複数候補をください)
  • 対面 / オンライン の希望
  • 参加人数 (1人でも複数人でもOKです)

大学院生 (修士・博士)

学外の方も応募が可能です。大学院入試 (大阪公立大学大学院 情報学研究科 基幹情報学専攻) を受けていただくことになります。出願前に必ず、下記お問い合わせ情報から石丸との面談を行ってください。研究テーマや支援プログラムについて説明します。また、博士後期課程 (博士) に関しては、受け入れ体制が整うまで知能メディア処理研究グループとの共同指導になります。

よくある質問と回答

Q. 研究室の雰囲気はどんな感じですか?

A. まだ準備中ですが、楽しく協力的な雰囲気を大切にしたいと思っています。ミーティングや研究室行事を通じて、学生がお互いの興味関心や研究内容を把握しアドバイスし合える環境を作ります。

Q. コアタイムはありますか?

A. ありません。週一回程度の定例ミーティングでの進捗共有を念頭に、無理のない範囲で自由な時間に活動してください。一方で、教員のオフィスアワーや設備環境の充実化によって、研究室に来ると研究が進む状態を作りたいと思います。

Q. アルバイトや課外活動との両立は可能ですか?

A. 可能です。実社会での経験を積むことは、研究やその後のキャリアに良い影響を与えると考えています。ただし、学業や研究に支障が出ないよう、バランスに気を配ってください。長期インターンシップについては、事前に相談をお願いします。

Q. 研究室の外から活動可能ですか?リモートワークは可能ですか?

A. 可能です。チャットツール、ビデオ会議、VPNなどを使って自宅等から作業できる環境を整える予定です。定例のミーティングは原則ハイブリット形式で実施します。なお、研究テーマによって、実験装置を扱う際は研究室に行く必要があります。

Q. 研究テーマはどのように決まりますか?

A. 研究室の大まかな方向性の中で、興味や適性を考慮しながら、相談して決めていきます。配属後すぐは、関連分野の論文を読んだり、簡単な実装・実験を行ったりしながら、自分の興味のある研究テーマを見つけていくことになります。

Q. 必要なスキルや前提知識はありますか?

A. 特にはありません。研究活動一般にいえることとしては、プログラミング能力やコミュニケーション能力があると有利です。が、スキルが身につくよう伴走支援します。重要なのは、新しいことを学ぶ意欲と問題解決に取り組む姿勢だと思います。

Q. 留学や国際会議 (学会) への参加は可能ですか?

A. はい、積極的に推奨しています。研究室発足の根底には石丸が在学時代にいただいた渡航の機会を次世代に提供したいという想いがあり、研究成果の国際会議発表化や留学支援プログラムの獲得には特に力を入れたいと考えています。

Q. 研究室の設備はどのようなものがありますか?

A. 1人1台Macbook Pro相当のノートPCを貸与します (Windowsも可)。研究室には、GPUをはじめとする計算設備、アイトラッカー等の実験用デバイス、書籍、大型モニターなどを順次揃えていく予定です。何を買うか一緒に決めましょう。

Q. 1期生として入るメリットはありますか?

A. 研究室の立ち上げを一緒に経験するため、研究室の文化形成や設備の選定に関わることができます。また人が少ない分、教員の時間を多く活用できるため、プログラミング、デザイン、論文執筆などについて充実した指導を受けることができます。

Q. 1期生として入るデメリットはありますか?

A. 研究室に先輩がいないのが一番の懸念点だと思います。この点については、カイザースラウテルン=ランダウ大学のPsyberLab (旧石丸研)やDFKI Lab Japan、他の研究グループと共同での輪講や研究室行事を企画して、交流の機会を設ける予定です。

Q. 研究室選びにおいて重要だと思うポイントは何ですか?

A. 今年のキャリアデザイン論の授業で石丸が話したのは (その時は今年から研究室を持つことになると思っていませんでした)、研究内容よりも先生との相性や研究室の雰囲気を重視した方がいいということでした。なぜなら、研究内容は自分で変えられる (提案できる) し、外部の事情で変わることもあるし、自らの興味自体も少しずつ変わっていくからです。また、研究室では先生の授業とは違った一面も見えたりするので、興味のある研究室に必ず一度は話を聞きに行くことをおすすめします。

Q. 見学や個別相談は可能ですか?

A. ぜひ!研究室見学や個別相談を随時受け付けています。希望する方は、下記のメールアドレスまでご連絡ください。

お問い合わせ

  • メールアドレス: ishimaru@omu.ac.jp
  • 居室: 大阪公立大学なかもずキャンパスB4棟 (教室・オフィスアワー調整中)